【第5回】役に立つロボットとは?

連載:今さら聞けない入門講座第5回

「役に立つロボットとは?」

YJC理事 宮代 文夫

「ロボット」というと、皆様が真っ先に目に浮かべるのは高性能AIを搭載した高価な「ペッパー」とか、SONYの愛らしい犬ロボット「aibo」などでしょうか。まず第1回の今回は「人と対話するロボット」を取り上げます。2~3年前、私の声が突然かすれてきたことがあります。「のどに異物でもできたか?」と心配になり、近くの耳鼻咽喉科医にいきました。90歳は過ぎているような医師で、「アーンと開いて」といい一目みるなり「ああこれはトシによるものだ。このごろあまりしゃべっていないのが原因だ。病気ではありません。カラオケでも行ったら?」といい、処方なし、終わり、でした。こんなじじいではあてにならない、ということで紹介状を別の医師から書いてもらい「みなと赤十字病院」へ行きました。ここでも女医さんが「トシという見立ては正しいですね。カラオケは有効です」。とあっさり切り捨てられました。
世の中では話したくても相手がいない孤独な高齢者は大勢います。この方達に向くのは(1)音声認識・対話型ロボット、(2)今はやりのAIスピーカ、といったところでしょう。市販されているものでかなりまともなものは図のような商品です。

 

「ロボホン」は21万円その上基本月1000円のソフト使用契約をしなくてはなりませんが、個人を認識しますしWi-Fi経由で調べものもしてくれますし、メールもできます。「みーちゃん」は2万円ほどですが、認知症の方々(特に女性)にはなかなか人気があるようです。もっと本格的なのは「AIスピーカ」ですね。

これは5千円から2万円程度です。
さて、このごろ「ロボットに奪われる職業は何か?」という話題がにぎやかです。高齢者対応のロボットではとても対応できなくても、普通のビジネス会話対応で済んでしまう職業は世の中で沢山あります。

一つはTVショッピングです。「このTV番組終了後30分以内に電話された方々には特価で提供するのでお早く・・・」というやつです。先方は当方の電話で住所が手元に明示されていますからその確認と商品の選択、支払方法を聞くなど、決まりきった会話のみです。高価なオペレータを沢山雇うより、「音声応答ロボット」で十分です。同様に銀行窓口業務、証券取引の大半も音声ロボットで済みます。M銀行が「9000名削減」と発表したのもこの手の見通しからだと思います。
そうはいかないのが「医療相談ロボット」です。この需要は遠隔・緊急相談だけではなく、「人知れず相談したい」という需要も多いですから、「今すぐ大病院へ行く必要があるのか?」という切実なニーズに応えるためにも、豊富な症例を内蔵したデータを参照しながら適切な応答をするロボットの開発が待たれます。このロボットが登場すれば、救急車呼び出しの濫用も、大病院の混雑も緩和される、と思うのですが。冒頭の「声かすれ」も2つの病院へ行く必要はなく、音声応答ロボットですむはずですね。また「ダイヤ乱れ、欠航などの問い合わせ」、ホテルのコンシェルジェを自動音声対応ロボットシステムにしてもいいでしょうね。

さて、次回以降は「災害対応」ロボット、「過酷環境対応」ロボット、「3K環境対応」ロボット、「手術対応」ロボット、「ものづくり」ロボット、「食品加工」ロボット、「宇宙機器用」ロボット、「農業用」ロボット、などのうちから面白そうなものを選んで、逐次ご紹介していきます。乞ご期待!! 原発の廃炉ビジネスなどは高性能ロボットの開発なくしては進めません。
ではまた次回。