⑭パワーデバイスの発展経緯
コース区分 | アドバンスト・コース(A) |
講座名 | SiCパワーデバイスの研究開発と実用化 |
日程等 | 2016/12/6(90分) |
講義の概要
電気エネルギーの有効利用は省エネルギー・創エネルギーの視点から重要視され、ひいては環境への負荷低減の魅力がある。電気エネルギー利用の高効率化を実現するために、パワーデバイスの大幅な性能向上が強く望まれている。現用パワーデバイスはシリコン(Si)で作製され、高性能化が図られてきたが、Siの物性に起因する性能限界に近づいている。今後の飛躍的な発展は望めず、ワイドギャップ半導体シリコンカーバイド(SiC)へ大きな期待がかけられている。
本講演では、SiCパワーデバイスへの期待から始め、技術の現状、ブレークスルーとなった「ステップ制御エピタキシー」開発に至る長期間のみちのり、SiCパワーデバイスの提示などの進展を紹介する。国家プロジェクトに依存して実用化に至る道筋をつけた展開を紹介し、さらなる発展のための課題を明示するとともに、将来の方向を示唆する。
(内容)
1.パワー半導体SiCへの期待
2.SiCパワーデバイス技術の現状
3.あけぼの期における基礎研究(京都大学の寄与)
4.実用化に向けての国家プロジェクトの展開
5.グリーンイノベーション実現に向けて
6.まとめと将来展望
■講師が最も訴えたいこと/期待したいこと
1.従前のパワーデバイスの置き換えでないことの認識
2.特徴を活かす独自の使い方の開発
3.高周波、高温動作の特性を活かす使い方
4.周辺受動部材開発の重要性の認識
講師の自己紹介(プロフィール)
松波 弘之
経歴等
○1968年頃から半導体SiC研究に取り組む(魅力的な物性をもつSiCを半導体社会の一員にしたい)。SiC/Siヘテロエピタキシー、SiC青色発光ダイオード
○1986年:3C-SiC MOSFET(世界初、格子定数ミスマッチから来る素子特性の限界)
○1987年:「ステップ制御エピタキシー」法の創出
○1993、1995年:高性能SiCショットキーダイオードの提示
○1999年:SiCトレンチMOSFETへの見通しを付ける基礎研究